「光と影のあいだに」No.14-死者の迎える夜のために

四つの夕暮れの歌の最後を飾るのは、《死者の迎える夜のために》。

これまでの三曲とは異なり、冒頭から決然としたピアノが響きます。

そのリズムは曲の最初から最後まで一貫して刻まれ、立ち止まることなく前へ、前へと進んでいく。

いくつもの小さな場面を積み重ねるというより、曲全体がひとつの大きなフレーズとなって、ただひとつのゴールへ向かって音楽を紡いでいくように感じます。

「死者の迎える夜のために
 今日残されたものは
 ひとつの夕暮れ」

ここでは、それまでどこか遠くにあった「終わり」が、「死」という言葉によってはっきりと姿を現します。

冒頭の和声は厳しく、逃れることのできない現実を突きつけられるようです。
けれど、音楽はその場所に留まり続けません。

途中、ふっと景色が変わるような転調があります。

それまでの厳しい響きの中に光が差し込み、私はそこに、ほんの少し「希望」を含んだような響きを感じます。

死へ向かう音楽でありながら、ただ暗闇へ沈んでいくのではない。むしろその先に、何かから解き放たれていくような感覚があります。

そして終盤。

これまで生きてきた時間が走馬灯のように次々と巡り、手を取り合って歌う子供達の姿までたどり着く。

出会った人。
見てきた景色。
喜びや悲しみ。
始まったこと、終わったこと。

それらすべてが一気に駆け巡りながら、音楽は最後の一点へ向かっていく。

そこに私が感じるのは、恐怖というよりも「昇華」です。

生きることから、死ぬことへ。

光から、影へ。

けれどそれは、光が完全に消えてしまうということではないのかもしれません。

第一曲《夕暮れは大きな書物だ》から、この連作にはずっと「夕暮れ」がありました。

夕暮れは、昼が終わる時間であると同時に、夜が始まる時間でもあります。

終わりと始まりの境界。
光と影のあいだ。

第一曲で遠くから眺めていた「終わること」は、第二曲で自分自身への問いとなり、第三曲では光と影の境界の中で「もう一人の自分」と出会い、そして第四曲で、ついに死という大きな終着点へと辿り着きます。

けれど、その最後に私が感じるのは、絶望ではありません。

すべてを手放し、現世から解き放たれ、どこかへ還っていくような感覚。

ひとつの夕暮れを残して、夜へ。

《四つの夕暮れの歌》は、そんな静かな昇華の中で幕を閉じます。

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