今回ご紹介するのは、《ラ・ワリー》より〈Ebben? Ne andrò lontana〉。
今回のリサイタルの最後の一曲です。
父親から望まない結婚を迫られ、それを拒んだワリー。父から「従わないのなら家を出て行け」と告げられた彼女は、
「Ebben? Ne andrò lontana」
「それなら? 私は遠くへ行きましょう」
と歌い始めます。
悲しみに暮れて立ち去るのではなく、自分の意志で「行く」と決める。もちろん、そこには故郷を離れる寂しさもあります。
愛する場所を捨て、ひとりで遠くへ行くことへの不安もある。それでも、自分の心に嘘をついてここに留まることはしない。
そんな 決意の歌 です。
実は〈Ebben? Ne andrò lontana〉は、大学時代から歌ってきた曲でもあります。学生だった頃から何度も向き合ってきた一曲。けれど、同じ曲を歌っていても、あの頃と今とでは、歌詞から感じるものが少しずつ変わってきました。
音楽を続けていくこと。
それは幸せなことであると同時に、迷うことも、立ち止まることもある。思い描いていた道とは違う場所に立っていると感じることもあります。
それでも私は、歌っていきたい。
今回、この曲をリサイタルの最後に置いたのは、そんな自分自身の決意表明でもあります。
ワリーが「私は遠くへ行く」と自分の足で歩き出すように。私も、この先どこへ辿り着くのかは分からなくても、歌手として歩いていきたい。
そんな想いを込めて、この曲でプログラムを締めくくります。
.png)
