「光と影のあいだに」No.22-プッチーニ《蝶々夫人》ある晴れた日に

今回ご紹介するのは、《蝶々夫人》より〈ある晴れた日に(Un bel dì vedremo)〉。

あまりにも有名なアリアです。
蝶々さんは、ソプラノ歌手なら一度は憧れる役のひとつではないでしょうか。

あまりにも有名な曲だからこそ、これまでなかなか手を出せずにいました。

聴く人それぞれの中にも、きっと「ある晴れた日に」のイメージがある。

そんな曲を歌うことに怖さもあったのだと思います。

蝶々さんは、まだ10代の若い女性。

けれど、この役に求められるものは決して「若さ」だけではありません。恋をして、信じて、待ち続ける。
やがて母となり、最後にはあまりにも過酷な現実と向き合うことになる。

ひとつのオペラの中で、その精神的な成長を描きながら、プッチーニのドラマティックな音楽を表現しなければならない、とても難しい役だと思います。

このアリアで蝶々さんが歌うのは、まだ起こっていない未来です。

ある晴れた日、海の向こうに船が見える。
ピンカートンが丘を上ってくる。
そして、私のところへ帰ってくる。
まるでその光景が、本当に目の前に見えているかのように。

周りがどう思おうと、彼女は信じています。

だからこそ美しくて、同時に、その先に待つ結末を知っている私たちにはあまりにも切ない。希望に満ちた音楽の中に、すでに悲劇の影が差しているようにも感じます。

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