光と影のあいだに」最終回―リサイタルを目前に

リサイタルの開催が決まってから、約一年半。

まだ遥か先のことのように思っていた10月23日が、いよいよ目前まで近づいてきました。

2026年は、ありがたいことに、私にとって活動が動き始めた一年でもありました。

オペラへの出演や海外での研修。新しい場所へ赴き、その経験の中で、感じるようになったことがあります。自信がついたから前へ進めるのではなく、不安や自信のなさを抱えたまま、それを越えた時に初めて得られる成長があるということです。今の自分には少し大きすぎると思う場所へ、それでも一歩を踏み出してみる。

そういう意味でも、今回のリサイタルは、私にとってまたとない機会でした。

一方で、本番が近づくほど、舞台に立つことの怖さもまた現実味を帯びてきました。緊張で眠れない夜もありました。

自分の思い描いていることが舞台の上で形にできるのだろうか。多くの方が足を運んでくださることへの喜びと、それに応えたいという思い。期待と不安は、不思議なほどよく似た場所から生まれてくるものなのかもしれません。

私はもともと、物事を強く感じ取る方なのだと思います。
言葉や、人の気配、その場の空気。美しいものに心を動かされる一方で、不安や恐怖にも揺さぶられやすい。

心が揺れることそのものが、表現のはじまりなのだと思います。

夕暮れの中に何を見るのか。
ひとつの詩から、どんな景色を思い描くのか。
一つの和音に、光を感じるのか、影を感じるのか。

国も、時代も、言葉も異なる作品を辿りながら、気がつけば、自分自身が何を感じ、何を歌いたいのかを確かめる時間にもなっていました。

だから10月23日は、ここまで考え、迷い、感じてきたことを、言葉ではなく音楽に託したいと思います。

「光と影のあいだに」

このタイトルに込めたものが、どのような音楽になるのか。

ところで、この長い連載を最初から最後まで読んでくださった方は、果たしていらっしゃるのでしょうか。

一曲ずつ書いているうちに、いつの間にか長くなりました。お付き合いくださった皆さま、本当にありがとうございました。

皆さまと音楽を通してお会いできることを、心より楽しみにしております。

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